統合化リゾート(IR)産業の舞台裏

カジノ市場の de facto スタンダード、GLI標準/GSA標準、先人の知恵レガシーSAS6.02、業界のSOP、その他、見聞した業界の実務について書いてゆきます。
用語_ハウスアドバンテージ
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    ハウスアドバンテージ

    House Advantage

    カジノアドバンテージと同じ.

    確率の支配する世界,ゲーミングの収益

    カジノではスロットマシンで代表されるディジタルゲーム機とポーカーやバカラ,ルーレットなどのテーブルゲーム機が人気を二分している.共通する特異点のひとつは確率の支配する世界だということだ.確率と聞くと何やら昔,学校で習ったようなと思われる諸氏もおられよう.そう,順列・組合せ・確率... の確率である.

    一例としてルーレットを挙げてみる.米国型のルーレットゲームでは1から36までの番号を付けたポケットが36個に,ゼロ(0)とダブルゼロ(00)の2つを加えた合計38個のポケットを持つ円盤を回転させ,ボールを1個,落としてどのポケットに落ち込むかを予想し賭けをする.ポケットは0から36までと番号00が振ってある.円盤を回転させボールを1個,落とすと38個のポケットのどれかに落ち込むようにできている.落とすボールが1個で,38個のポケットのどれか一つに落ち込む確率は1/38となる.

    実際のゲーミング機で諸氏が全部のポケット38個に100円ずつ賭けたと仮定する.掛け金の総額はポケット38個x各100円だから3,800円となる.例えば貴方がポケット3に100円を賭け,見事にポケット3へボールが落ちたとしよう.このとき掛け金の総額を貴方が独り占めしたとすると賞金は3,800円となる.しかしゲーミング事業者が貴方に支払う賞金は実際には3,600円である.差額の200円は事業者の儲け(粗利益)となる.

    つまり当選率が1/38のならば掛け金1に対する賞金総額は1x38となる.これは正しい. 38から差し引く2は事業者が手数料として差し引き,事業収益とするのである.なぜ2を控除するのか,それはこのゲームを事業として提供する価格を36としたからだ.差額の2は事業を提供する側に必要な収益とするわけである.じゃあなぜ2なのか,3でも4でもいいのでは? それはその通りである.この控除する2は誰がどんな理由で決めたか? それは歴史的なゲーム市場での競争と経験値が堆積してできあがった原理と考えてよいのだろう.

    まとめると38ポケットあるルーレットで1つのポケットにボールが落ちる確率は1/38, 実際に当たりポケットを予測して勝ったプレイヤへ支払う賞金は38の内36で,差分は2 (38-36)となる.このとき差分2を総ポケット数38で割り算すると0.05263という数字になる(2/38=0.05263). 業界ではこの数字をルーレットのハウスアドバンテージと称し5.26%などと表す.

    ハウスアドバンテージはゲームを提供する事業者の期待できる粗利益(率)を意味する.

    次はゲーム別の標準ハウスアドバンテージの一覧である:

    ゲームの種類: ハウスアドバンテージ:
    バカラ: 1.2%
    カリビアンスタッド: 9.0%
    クラップス: 2.0%
    ルーレット: 5.3%
    スロットマシン: 5.0%

    ハウスアドバンテージはゲームの固有値

    これはゲームを一回プレイすれば,結果の勝ち負けに関係無く,掛け金の一定率がハウスの収益として控除されるという意味である. 例えばブラックジャックのハウスアドバンテージは公称 2% となる.ただしゲームの勝ち負けがプレイヤの技能レベルやゲームのオプション/規則により左右されるものもある.

     

    | kensけん | 用語 | 17:04 | comments(0) | - | - |
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